こんにちは。NUTMEGデザインチームの小林諒大です。 この春から大学院に進み、修士1年となりました。
現在私はNUTMEGにデザインシステムを導入できないか検討しています。そこで現在私が考えている、NUTMEGにデザインシステムを導入する上で考慮すべき、かつメンバーに共有しておくべき事項をまとめ、ブログの場を借りて公開してみます。
ここでは一先ず自分が面倒を見ることができるであろう向こう3年くらいを考慮します。
現状、草案段階でありメンバー以外の方の参考になるほどの記事かは分かりませんが、時間があるときにでもお目通しいただければ幸いです。サークル規模でのデザインシステム導入についてまとめたサイトはあまりないと思います。
まずデザインシステムとは何かですが、簡単にいうとプロダクトのデザインを良いものにするための複数のリソースのまとまりを指す言葉のようです。言葉自体は厳密に定義されているものではありません。
簡単に調べて出てきた範囲のデザインシステムの構成要素の例を以下に示します。名称については作成した団体によって異なるため、やんわりとらえてください。
多くの団体がデザインシステムの名でFigmaのコンポーネントファイルを公開していますが、ガイドラインをはじめとする文書まで公開している団体は多くありません。今回は数少ないデザインシステム全体を公開しているAmeba様のspindleとSalesforce UX様のLightningDesignSystemをメインに考えていきます。
マテリアルデザインガイドラインなども有名ですが、今回は団体として使用・運営するデザインシステムに主眼を置きたいと思うので、ここでは考慮しません。
そのプロダクトらしさ作るために、どのように設計、デザインするかの指標。大体3つくらいの簡単な言葉。バリューとかビジョンのような存在に近い。どのように考え、行動すべきかの指針になる。
デザインを実装する際に参照しないといけない値をまとめたもの。 フォントサイズや使用する色のカラーコードなど。
プロダクトに使用するUIのパーツについてのガイドライン。 各パーツごとに使い方、バリエーションがある場合は使い分けの説明が含まれる。
デザインで満たすべきクオリティについてまとめたページらしい。 実例は見たことない。
デジタル庁デザインシステム
Figmaなどで作る、パーツごとのアセットのようなもの。 作成するとLINEのスタンプのようにデザインカンプを作ることができる。 基本的にガイドラインで示されたパーツは全て作成される。
アニメーションなどページ遷移やホバーした際にアニメーションが生じる場合、それらの設定をまとめる。デザイントークンのアニメーション版。
デザイントークンに統合されている場合もある。
アクセシビリティについての注意点をまとめたページ。 背景と文字のコントラスト他、プロダクトを作る上で配慮するアクセシビリティの基準を示す。
雑な書き方になってしまいましたが、これら7つが主なデザインシステムの構成要素となります。
デザインシステムはデザイナーのみならず複数のチームに渡って関与する、デザインを向上するためのリソースとわかってもらえるかと思います。
一般的にデザインシステム自体に特有の大きなデメリットはないとされていますが、これは企業の場合です。NUTMEGとして導入する場合のことを考えると以下のようなデメリットが考えられます。
ここまで色々語りましたが、これらを踏まえた上で私はデザインシステム導入を試してもいいのではないかと思います。先述した、デメリットおよび懸念点についての自分の考えは下の通りです。
現状でもっともデザインシステムの導入を検討する上で最も危険視している問題です。これはデザインシステムの決め方に遊びを持たせたり、システムを作る際に関わるデザイナー全員でシステムの作成・更新を行なったりすることによって、楽しさを確保することができるのではないかと思いますが、メンバーを相談をして詳細を決める必要があります。
当然です。負担が大きくなる工程は、デザインシステムの作成工程、実装工程の二つに分けられるかと思います。
デザインシステムの作成にあたっては基準になるシステムが一つある状態であればそれをベースに進めるため、最初の1つのプロダクトを除いて大きな問題にはなり得ないでしょう。
実装工程も一概には言えませんが、デザインシステムの導入によって規則的なデザインにするのであれば実装もシンプルな物になると思われるのでタイミングを考えればそこまで負担にならないという予想です。
すでにプロダクト名変更レベルの改修・作り直しを検討している段階であれば不要です。HPなどの年毎に内容が変わるプロダクトの場合はむしろやらない方がいいでしょう。
ですがそれ以外のプロダクトにおいては必要かと思います。NUTMEGで作成するアプリのユーザーは年に数度しかアプリを開かないでしょうから、想定するべきユーザーはほとんど新規ユーザーとなります。そんな人たちにこちらの都合でできた使いづらく統一されていないUIを提供するのはできる限り避けるべきでしょう。
↓↓↓これは自分が好きな動画↓↓↓
先述しましたが、一つのプロダクトができたらそれを元に他プロダクトへ流用する形で導入は可能であると考えています。将来的に全プロダクトで更新、作成を同時並行して進めなければならなくなると思いますが、こうした場合は積極的なデザイナーチームの人員の増加や、デザインシステムを作成を担当する人の変更などによって都度対応が可能でしょう。ですが、運用については今後の新入生勧誘の方針にもかかるのでNUTMEG全体で改めて検討する必要があると思います。
後輩の負担については導入後も現状より酷い負担はかからないとの予想です。 現時点では中途半端なルール、個人の感覚に任せたデザインが常態化してしまっています。これは偏に自分の責任です。規則だったシステムを作ることができれば格段に引き継ぎ、新規プロダクトへ参加することへの敷居が低くなるものと見込まれます。
今後、デザイナーをやりたい人が0になる可能性も当然ありますが、その時はもう自分も卒業しているでしょう。後輩に任せます。凍結、全消去大いに結構。
そもそも今回参考にしたシステムもそうですが、デザインシステム自体は企業で行うことが前提のものであり、サークルで行うにあたって支障が出るのは当たり前です。
デメリットの対策、懸念点への対応、NUTMEG流のカスタマイズをたっぷり加えて導入したい気持ちです。これまでデザインの準備期間の長期化により開発を遅らせていた状況を終わらせたいです。
まずは最初に一つのプロダクトで始めて、それを参考に他のプロダクトへ反映できる土壌を作る形が良いと考えています。最初のプロダクトとしてはFinanSuが適切でしょう。これは自分が開発の当初から関わらせてもらったプロダクトである為もありますし、当初からデザインシステムの導入を念頭においてデザインカンプの作成をしてきたことも大きな理由となっています。
最初は自分が主体となり、FinanSuでの導入方法の叩き台を作り、それをプロダクトのメンバー(プロジェクトマネージャー、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、デザイナー)で叩き、修正を加えていければとおもいます。
冒頭で述べた通り、私はNUTMEGの全プロダクトでデザインシステムを導入することが理想であると考えます。一つのプロダクトでの導入が出来次第、他のプロダクトへの導入も進めていきたいです。そこで今後の展望を話します。
情報局内の複数プロダクトで運用することになった場合、団体として共通していた方がわかりやすいデザインシステムの項目(アクセシビリティに関するページ、品質を明文化したページ)もあるでしょう。そういった共有したい分野とプロダクトごとで独立した部分をまとめてみることができるサイトのような形にしたいと考えています。先述したAmebaのspindleのような形を目指したいです。編集の簡便さとFigmaとの親和性からNUTMEGで運営するのであればNotionで作るのが現実的でしょう。
そこでー
作ってみたものがこちらになります。
メンバー向けに実際に操作できるNotionページを公開しましたが、ここでは外部に向けた公開になるためカットさせていただきます。
現状では未完成で、他デザインシステムからのコピペのみのページ、白紙のページがありますがメンバーにはおおよそのイメージを掴んでもらえたように思います。
開発の順序はこのような流れになるでしょうか。
ここまで色々考えてきましたが、メンバー間で色々意見をもらって不要だという意見が強いようであれば自分は破棄でも構いません。この記事をきっかけにメンバーがデザインシステムについて考えたり調べたりするようになってくれたら嬉しいです。