NUTMEGの創始者 大場です。 約2年前に技大祭実行委員会を効率化するためにNUTMEGという組織を立ち上げました。 もちろん組織運営は一筋縄ではいかないため、いろいろな試行錯誤を繰り返した2年間でした。 現在は後輩にも恵まれ、学生にしてはかなりいい組織を作ったのではないかと思っているので、このタイミングで2年間を振り返りたいと思っています。
NUTMEG(読み: ナツメグ)は、長岡技術科学大学の学祭である「技大祭」を運営する「技大祭実行委員会」に内在する開発組織です。技大祭実行委員会では仕事の役割ごとに局が分かれています。その中で技大祭の運営を効率的に行うためのアプリ開発を担う局である「情報局」に名前をつけたものになります。名前の由来は「NUTfes Modern Engineering Group」の略です。技大祭の運営の効率化という軸はぶらさず、誰でも積極的な開発や新しい技術への挑戦が行えるチームであり続けたいと思っております。
ここからは、NUTMEGが2年間でどのように変遷していったかを振り返っていきたいと思います。
NUTMEGが発足する前にも、「情報局」の概念は存在していました。ここでは、技大祭に参加する団体を管理するアプリ(参加団体管理アプリ, group-manager)のみを開発するチームでした。しかし、2018年に実行委員内で局の概念が見直され、情報局の仕事は限定的であるという理由で、仕事自体は残るものの情報局は消滅しました。
新型コロナウィルスの影響で2020年の技大祭は中止になりました。つまり、1年間限定で今まで情報局で行っていた参加団体管理アプリの保守運用をする必要がなくなりました。今までのgroup-managerはRuby on Railsのみで作られていたモノシリックなアプリケーションであり、管理者画面もrailsのGemによって自動生成されたものであったため自由度が低く、機能追加に限界を感じていました。そのタイミングで技大祭が中止になったため、チャンスと思い1年かけてgroup-managerを1から作り直すと決意しました。これがNUTMEG発足の全ての始まりです。この時作り直すと言って呼びかけたメンバーの中で実際に集まってくれたメンバーはたったの3人でした。この3人で開発を始めたのです。
従来のgroup-managerを改めて「Group-Manager-2」というアプリの開発を始めました。大きな変更点は、モノシリックなアーキテクチャからバックエンドとフロントエンドに分けたマイクロサービスを採用したことです。バックエンドのAPIは従来通りRuby on Railsを採用し、APIモードで起動しました。フロントエンドは主にVue CLIやNuxt.jsを採用しました。また、参加団体に見せるユーザーページと、実行委員が使う管理者ページをそれぞれ別のアプリケーションとして作成し、同じAPIを用いることで様々な拡張が可能となりました。
さすがに3人で開発するには時間が足りなさすぎると考えたため、メンバーをさらに集めることにしました。しかしながら、技大祭実行委員会の中に開発に精通している人は全くおらず、即戦力になる人を見つけることができません。そのため、投資的に開発に興味があるメンバーを探し教育することを試みました。結果として6人を集めることができ、全部で9人(経験者3人+未経験者6人)の開発チームを作ることができました。最初の教育カリキュラムはRailsチュートリアルを一通り終わらせることでした。ターミナルやエディタの使い方や、プログラミング言語の基本的な概念を説明した後、GitやDockerの開発に必須のスキルを学んでもらい、Railsチュートリアルを完遂してもらうことを目標にしました。もちろん一人で14章まで完遂するのはかなり大変であるため、分からないことがあれば大場に質問するという体制で全員分の学習をカバーしました。結果として、未経験だった人はほぼすべて3か月程度でRailsチュートリアルを終わらせることができ、Group-Manager-2の開発に携われるようになりました。
初めての教育制度としてRailsチュートリアルを採用しておりましたが、もちろんメンバーにもそれぞれ個性があり、バックエンドやフロントエンド,インフラと様々な領域に興味がある人に対して適応できません。そのため,1on1の教育制度を導入して、新入生や未経験者が入った時にその人の興味領域に合わせてメンターをつけ、その人に教育カリキュラムを任せるといった教育制度をとることにしました。また、このメンター制度によって初心者が学習開始からプロダクトに携われるまでの期間を短くすることができ、早めにタスクに取り掛かれるようになりました。 新入生が技大祭を辞めてしまう理由は主に2つあります。1つ目は先輩とのつながりを作れなかったということ、2つ目は自分の存在価値を見出せなかったという理由です。このメンター制度を導入することで、これらの2つを解決することができました。
情報局の始まりはGroup-Manager-2を作ることが目的でしたが、メンバーが充実してきたことと教育制度が充実してきたことで、様々なプロダクトを作り出せるようになりました。技大祭当日のシフトを管理する「SeeFT」、技大祭の財務管理を行う「FinanSu」、技大祭当日の人の流れを可視化する「Tracking Support」、NUTMEGの学習をサポートする「NUTMEG-Seeds」など、技術の幅も課題解決の幅も広げることができました。
株式会社サポーターズ主催のハッカソンに出て短期間でプロダクトを開発する武者修行を行ったり、技育展の登壇や技育祭の学生LTの登壇などをして徐々に外部登壇を増やしました。このように外部登壇を経験することで、いろいろな刺激をもらったことで更なる意識の向上へとつながりました。
NUTMEGは,自ら課題を見つけ、自ら課題解決方法を考え、自ら実行するというサイクルができている団体になっております。また、自ら育ち育てるといったことも意識したことでプロダクトに対して本気で取り組めるチームになっていると思います。技大祭は解決するべき課題は山のようにあります。そのためNUTMEGも日々進化できるように精進して参ります。
サークルは会社とは違い、周期的に人間が入れ替わります。技術に強い人、マネジメントができる人、リーダーシップが発揮できる人などが入り一時的に強い団体になることがありますが、そういった人も必ず卒業します。しかしながら技大祭などの組織の課題は残り続けます。大切なのは継続的に強い団体にすること、もしくは毎年アップデートしてどんどん強い団体にすることだと思っております。NUTMEGはどんな人でも意識が高くなっていくような文化を創りあげることで継続的な強い団体を目指しており、今後も技大祭の課題をどんどん解決していきたいと考えております。